日本にある米国資本の子会社が監査を求められるケースは、親会社が上場企業である場合がほとんどです。しかし、子会社が大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)に該当する場合、日本の会社法により会計監査が義務付けられます。100%米国資本の子会社であっても、日本の会計基準にしたがって計算書類を作成し、監査を受けることが要求されるのです。

日本に工場などを持つメーカーや、資産規模の大きい金融業などを営む事業会社などは、資本金や負債金額も多額になりがちです。そのため、会社法上の大会社として扱われることになり、親会社の指示のもとで実施される米国会計基準の監査とは別に、日本でも監査が要求されてしまうのです。

会社法で求められる子会社監査は、かつては親会社監査人と同じグループファームが実施することが一般的でした。しかし、会社法監査は、必ずしも大手法人が行う必要はありません。事実、日本では、資産・資本規模が多額になりがちな非上場のインフラ系事業会社や、老舗のオーナー系企業など、中堅規模の会計事務所に会社法監査を依頼しているケースが多々あります。

ただし、会社法で要求される監査の場合、原則として、決算日後3ヶ月以内に開催される定時株主総会(おそらく、米国親会社が100%株式を保有している場合がほとんどであるので、形式的な総会になります)で会計監査人を選任する必要があります。定時株主総会が開催された後であっても、親会社の同意があれば、臨時株主総会を開催したうえで、会計監査人を改選することも可能ですが、親会社の同意を得たうえで選任を進める必要があるでしょう。